生殖医療ガイドライン原案

同じ生殖医療分野でも学会はいくつも存在するのですが、その中でも大きな学会の一つである生殖医学会が「生殖医療ガイドラインの原案」を公開しております。

このガイドラインとは、複数の項目に対して一般的に推奨される診療・治療方針が書かれているもので、生殖医療従事者、特に医師に向けて作成されています。

なので、専門的な言葉が含まれ読みにくいかもしれませんが、よくある生殖医療の疑問にQ and A形式で書かれているので一見の価値ありです。

このガイドライン原案、生殖医学会HPから閲覧できますので、興味のある方は是非。

（生殖医学会HPに飛んで、上記赤枠をクリックするとガイドラインURLが見つかると思います）

 

せっかくなので、ここでもいくつかご紹介します。

このガイドラインを読むにあたりチェックしておきたい事が↓です。

（生殖医療ガイドライン原案より）

Questionに対するAnswerの推奨レベル、どれだけ推奨できる（信憑性がある）かを表しています。

勝手に言い換えると、

A：おそらく間違いないと思われる。

B：そうだと思う。その可能性は十分ある。

C：そう言う意見もあるけど、まだ何とも言えない。

だと思います（＊個人的な見解です）。

 

・胚培養は妊娠成立に有効か？

いや、生殖補助医療の分野において、もちろん有効であると信じています！

（生殖医療ガイドライン原案より）

有効であるにA判定頂きましたー。

有効でないと言われたら、どうしようかと・・・。

その他の項目はB判定ですが、個人的にはどれも同意できる項目です。

 

・胚発育の評価にタイムラプスは有効か？タイムラプスは体外受精の成績改善に有効か？

タイムラプスは胚を培養する装置ですが、カメラを内蔵しており培養中の胚を常に観察可能です。

そのため胚にストレスとなると言われている、培養器からの出し入れ等が不要となる分、胚の発生成績向上も期待されています。

（生殖医療ガイドライン原案より）

まぁ、現状は胚の観察には有効と思われるが、成績向上に関しては更なる調査が必要ということですね。

 

・PGT-Aの適応、有効性は？PGT-Aは累積妊娠成績や周期あたりの妊娠率と流産率の改善に有効か？

PGT-Aは着床前胚染色体異数性検査で、移植前に胚の細胞の一部を回収して、染色体検査を実施するものです。

（生殖医療ガイドライン原案より）

とまぁ、こちらは全くその通りかと思います。

適応のある（検査の実施が妥当である）患者さんに対しては、有効な治療法である。

しかし、そうでない場合は積極的に推奨する有効性は明らかになっていないということでしょう。

 

・凍結胚移植の効果・安全性は？凍結融解胚移植は新鮮胚移植と比較して有効か？

この話題は以前ブログでもやりました（新鮮胚移植と凍結融解胚移植）。

（生殖医療ガイドライン原案より）

まぁ、どちらもそれぞれの利点があるのは恐らく間違いないでしょう。

ですので、条件を限定するとどちらか一方が有効な可能性があるようです。

でも、凍結融解胚移植が胎児の発生に影響するというのは知りませんでした。

しかもB判定ということは、それなにの報告数（エビデンス）があるのでしょう。

どういった状況で、どう影響するのか、調べます！

 

こんな感じで全４０項目が載っています。

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