Q. 治療のほかに自分でできることはありますか？

2020年11月17日 2021年1月18日

基本的なことですが、健康的な生活習慣を心がけることが大事です。
全ての事において心身ともに健康であることは、プラスに働きます。
それは不妊治療においても例外ではないでしょう。

よく食べて、よく寝て、疲れやストレスを溜めず、心穏やかに過ごすのが理想的です。
健康に気を遣っている方にとっては当たり前のように思われるかもですが、実は簡単にできることではありません。

・からだの健康

個人的な見解ですが、健康を考える上で特に重要となるのは、食事と睡眠だと思います。
適切な食事（栄養）と十分な睡眠をとる。恐らくこれに勝るものは無いでしょう。

しかし、そうしたくても出来ないという方の方が多いのではないでしょうか。
例えば仕事や家事が忙しくて、つい簡単な食事で済ませてしまうとか、ついつい睡眠不足になりがちだとか・・・。
人によって十分な栄養・睡眠量は異なると思いますので一概には言えませんが、少なくとも足りてないなぁと自覚がある方は可能な範囲で改善をお勧めします。

改善の為にサプリメントや漢方を考える方も多いのではないでしょうか。
不足している栄養素を補ったり、睡眠の質を向上させたりといった意味で有効な手段の一つとなるかもしれません。
例えば以前に紹介したレスベラトロール（→過去記事）、昔から健康に良いと言われているポリフェノールの一種です。

シンガポール国立大研究チームの報告では、細胞の老化に伴うダメージ（酸化や炎症）を抑える機能を持っているとされ、全身の細胞をダメージから保護してくれるとされています（Shazib et al）。
近年では生殖医療領域での効果が報告されており、加齢に伴う卵子の質の低下（ミトコンドリア機能不全、染色体異常）を予防する効果が得られるとのこと（→過去記事）。

そのほか有名なところでは、ビタミンCやEも同様な作用（抗酸化ストレス・抗炎症作用）をもっている事が、多くの研究によって報告されています（厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイト）。

あとは、、、睡眠の質といえばメラトニンが有名ですよね。
メラトニンの摂取が睡眠の質を向上するという研究報告は複数あるようで、その効果は科学的に証明されていると言えるでしょう。
これらの報告は実験動物を用いた研究結果が主ではありますが、いわゆる科学的根拠、エビデンスのひとつになります。

なんのためか分からないまま摂り続けるより、効果を理解して目的をもって摂取するほうが効率がよいという話もあります。
気休めと言うか、気長に摂取して、効果がでると良いなと期待するぐらいで良いのではないでしょうか。
もちろん、サプリは一つの手段であって、他にもっと良い方法があるかもしれません。

睡眠の質なんかは枕や布団を変えるのも有効だって話もありますよね。

・こころの健康

加えて心も健康であるべきです。
治療に専念するあまり、無理や我慢を重ねていませんか？

楽しみを忘れていませんか？

目標に向かって頑張ることは大切です。
しかし、精神的に負荷をかけすぎると、身体に悪影響を及ぼす原因になってしまいます。

実験動物に慢性的なストレスを与えた結果、ストレスを与えなかった方に比べ血中の活性酸素濃度が上昇したという研究結果も報告されています。
活性酸素は酸化ストレスの原因物質で、DNA損傷やミトコンドリアの機能低下など卵子の質の低下を引き起こすことが知られている物質です。
つまり、ストレスは心の問題だけでなく体にも悪影響を及ぼすという可能性が科学的に示されているということです。

とは言っても・・・無理や我慢、不安、緊張、苛立ち、ストレスの要因は色々あります。
時に、自分自身ではどうにもならない事もあるかと思います。

周りの人にも協力してもらい、心のケアも大切に。