Q.良好胚盤胞の人工周期(ホルモン補充周期)での移植を4回行いました。良い状態の胚なので期待できる、とのことでしたが、一度も着床しません。何かできることはないでしょうか。
A.子宮内膜には受精卵を受け入れることができる一定の時期があると考えられています。自然妊娠では、卵子と精子は卵管膨大部で受精が成立し、およそ5日かけて卵管内を運ばれて子宮内に到達します。
子宮内膜が受精卵受け入れ可能となるのは、排卵から5日後、卵巣黄体からのプロゲステロンの分泌開始から5日後です。早すぎても遅すぎても受精卵を受け入れることができないと考えられており、同時に受精卵もまた着床可能な発育段階である必要があります。
人工周期での移植を4回行ったとのこと。つまりホルモン補充によって、受精卵の発育段階とホルモン値による子宮内膜の時期は一致させている、にも関わらず着床しないとすると、次に提案させて頂きたいのはERA検査です。
ERA検査とは
子宮内膜をホルモン値に基づいて着床可能な状態に整えていても、遺伝子レベルでは一致していない可能性があります。遺伝子レベルでの不一致のために受精卵受け入れ不可となる場合が、少ないとはいえ存在することが明らかになってきています。
胚の受容性に関わると考えられる238種類の遺伝子を解析し、遺伝子レベルでの受け入れ可能時期が、ホルモン値での受け入れ可能時期と一致しているのかどうか、子宮内膜組織を採取して調べる遺伝子検査がこのERA検査です。
たとえば、今までは5日目胚をホルモン値での子宮内膜5日目に移植していたけれど、ERA検査によって7日目が遺伝子レベルでの受容時期だということが分かった、その場合は、従来よりも2日遅い移植日を選択する、ということになります。
結果に日数を要しますので、ERA検査を行うホルモン補充周期には移植を行うことができず、また確定に2周期を要する場合もあります。確定後、新たな周期において、検査時と同じホルモン補充を行い、ERA検査の結果に基づいた日程で移植を行います。
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