不妊治療にあたり取り組んでいただきたいものに禁煙があります。
タバコは「妊娠したらやめよう」と思っている方も多いと思いますが、妊娠する前から影響はあります。
タバコに含まれる「ニコチン」は血流を悪くし、血管の老化を早めます。他にも酸素の運搬を妨げる「一酸化炭素」や様々な発がん性物質も含まれています。
今回は喫煙が及ぼす影響についてお伝えしたいと思います。
卵子、精子への影響
女性の場合、喫煙によって卵巣機能が低下するため受精率や着床率が下がり、妊娠率が下がるといわれています。
男性の場合、タバコを吸う人は吸わない人と比べて精子の数や運動率が低下すると言われています。受精率も低下すると言われています。また、EDの原因になることもあります。
不妊治療への影響
不妊治療に必要なホルモン剤にエストロゲン製剤があります。喫煙者は、年齢と本数にもよりますが血栓症の発症のリスクが上がるため、エストロゲン製剤の使用が難しくなる場合があります。
また、喫煙者は一般の方に比べて呼吸機能が低下しています。そのため、体外受精の採卵時に麻酔が使えないことがあります。
タバコを吸っていることによって治療の選択肢が減ってしまう可能性があります。
妊娠中の影響
喫煙によって子宮、胎盤の血流が少なくなります。
そのためおなかの中の赤ちゃんの体重は増えにくく低体重児の赤ちゃんが生まれる確率があがります。
また、流産、早産の原因にもなります。
生まれた赤ちゃんへの影響
タバコは子供の先天異常や発達障害、その他の様々な病気の発生率を上げることがわかっています。また、タバコは「乳幼児突然死症候群」の危険因子です。
禁煙しましょう!
自分が吸っていなくてもそばで煙草を吸っている人がいたら「受動喫煙」といって吸っていることと同じことになってしまうのです。
・非燃焼・加熱式タバコ、電子タバコも喫煙者、他者にも健康被害を起こす可能性があると言われていて、非燃焼・可燃式タバコ、電子タバコに変えることは残念ながら禁煙にはなりません。
・換気扇の下、別室、ベランダや屋外で吸っていても、喫煙者の肺には有害物質が残り、吐く息とともに出ます。またサッシの隙間から副流煙は入り込みます。空気清浄機を使ったとしてもたばこの有害物質の多くは取り除くことができないと言われています。
禁煙のコツは「一気に禁煙をする」ことのようです!
通常、禁煙後の禁断症状は3日以内にピークになりますが、おおむね1週間長くても2~3週間で消失すると言われています。
この時期をなんとか乗り切って、タバコとお別れしましょう!!
禁煙外来を受診する方法もあります。不妊治療を始めてから禁煙外来を受診する際は、不妊治療の医師と相談しながら進めましょう。